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第44回労務相談室 現地採用者雇用契約書(1)

第44回労務相談室 現地採用者雇用契約書(1)

インドネシア人社員の雇用契約書は人事に任せているけれど、現地採用日本人社員の雇用契約書はインドネシア人社員と全く同じというわけにいかず、駐在員と同じというわけにもいかずということで困惑されることがあるようです。現物支給に対する所得税課税の規定もあいまって駐在員削減を検討なさる際、しばしばまずは「現地採用日本人社員に変えるところから」という検討をされることがあります。では現地採用者雇用契約書について何回かに渡り気を付けておかなければならないことを列挙してみましょう。今回は契約のタイプと終了時の支払いについてです。

【期間限定雇用契約 Perjanjian Kerja Waktu Tertentu/PKWT が原則】
駐在員と異なり、本社からの帰任命令が出ないので、基本的に正社員雇用にしたいと思われることがありますが、駐在員でなくとも現地採用日本人社員は外国人労働者です。労働省から就労許可を得て初めて雇用することが可能になります。そしてその就労許可は通常 1 年のみ有効です。ですから期間限定雇用契約が原則です。雇用契約書が有効になるのは就労許可を得たところからであり、就労許可が無効になれば雇用関係も終了しますのでその旨を明記しておく必要があります。
一方で契約社員ではなく正社員として採用してほしいという現地採用日本人社員側の希望もあるでしょう。会社に正社員と同等として雇用する意志があることを雇用契約書に明記したい場合は「会社は就労許可を原則として引き続き延⾧するものとし、就労許可が発効される限り雇用は継続される」というような一文を追加なさってみてはいかがでしょうか。

【謝礼金と退職金】
期間限定雇用契約を締結すると 1 年の契約し対し 1 か月分の謝礼金 Uang Kompensasi を支給する義務があるという規定はとても有名です。けれども 2021 年政令第 35 号第 15 条第 5 項に外国人労働者は謝礼金支給義務の例外となることが明記されていますので、謝礼金を支給する必要はありません。また期間限定雇用契約の終了に伴う雇用関係の終了は退職金支給義務がありません。こうなりますと現地採用日本人社員は雇用関係を終了した際に謝礼金も退職金も受け取らないことになります。⾧期勤務を望む場合のアドバンテージとして何らかの退職金のようなものを独自に検討なさることはプラスがあるかと思います。

一方期間限定雇用契約ですので、契約期間終了前に雇用関係を終了した場合には雇用関係を終了した側が賠償金を支給する義務があります。賠償金額は契約残存期間分の賃金となりますので、状況により非常に高額になります。契約期間中に安易に転職しないようにこの賠償金の規定を契約書に明記する会社は少なくありません。当然会社側も契約期間中に雇用関係を終了するようなことがないよう注意する必要があります。この規定は労使の合意で権利法規するという形で無効にすることはできず、雇用関係を終了した者の義務となりますのでご配慮ください。

関連法規:2003 年法律第 13 号 UU-13/2003、2021 年政令第 35 号 PP-35/2021

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