第10回 会計監査
第10回 会計監査
早いもので今年もあと2か月となりました。インドネシアでは12月決算の会社様も多いので、そろそろ決算、年度末の会計監査の事を考え始めてらっしゃる頃かと思います。今回は会計監査について、税務監査との違いにも触れつつご説明いたします。
1.インドネシアの会計監査対象
日本では会社法監査は、資本金5億円以上、あるいは負債総額200億円超(いわゆる大会社)の会社が対象となっており、会社と利害関係のない独立した立場にある公認会計士の資格を有した者による監査を受け、監査証明を取得しなければなりません。インドネシアでは外資系の会社は大会社という分類でとらえられておりますので、インドネシアにある日系企業を含む外資系法人はすべて、インドネシアの公認会計士による監査を受け、監査証明を取得しなければなりません。
2.会計監査と税務監査の違い
会計監査も税務監査も同じ、「監査」という用語を使いますが、監査を行う主体、目的、頻度すべてが異なります。会計監査は上述のように、公認会計士によって監査が行われ、目的は決算書が会計基準に合致しているか、基準を満たしているかを調べます。頻度は毎年度行われます。これに対し、税務監査は税務署によって行われ、目的は税金計算が正しく行われているか、税金の納付が正しい時期及び金額で行われているかを調べます。頻度は決まっておらず税務署の判断で調査のある年度、ない年度があります。税務調査については、第4回(2021年4月発行)税務相談室で既に記述させていただいたので、ここでは割愛し、会計監査について以下記述いたします。
3.会計監査は何をするのか
会計監査では、決算書の各科目(現金、預金、売掛金、棚卸資産、固定資産、買掛金、未払金、親会社ローン、資本金、売上、売上原価、販売費及び一般管理費、営業外費用といった項目)があっているかどうかを領収書、請求書、預金通帳、売上表、検収書、といった証拠資料を元に検証する作業が行われます。変動分析、将来計画の確認、税金計算の妥当性の確認も行われ、この結果、決算書が適正に作成されていることに対して監査人は意見を言い、責任を取る、というのが会計監査の作業となります。ミスが少なく、ダブルチェックなどがなされており、しっかりと決算書を作成されている会社は内部統制が効いており、チェックする範囲が少なく会社からの証憑提出などもスムーズなため、監査の手間も減り監査意見もスムーズに出ることとなります。しかし、仕訳の誤りが多く監査人からの質問への回答に手間取り、資料提出にも長い時間を要するとなかなか監査が終了しないという事態に陥ってしまいます。月次決算のチェックと資料の整理を整え、会計監査に進まれることをお勧めいたします。
関連法令:会社法第68条