第4回 税務調査
第4回 税務調査
インドネシアで多い12月決算の企業にとって、今月末は、期末から4ヶ月の法人税申告期限にあたります。2020年度は新型コロナウイルスの影響もあり、前年に比べ業績が悪化する企業が多いのではないでしょうか。そうなりますと、前払いした輸入法人税(PPH22)や予定納税(PPH25)が年度末に、確定法人税額を上回る結果、すなわち「還付ポジション」となります。還付の申告を選択されますと、ほぼ確実に税務調査を受けることになります。
そこで今回は、税務調査の手続きやプロセスについて説明いたします。
税務調査のプロセスは以下のように進みます。
(1)調査通知書(SP2)
まず「SP2」と呼ばれる税務調査通知を受け、調査開始です。通知の時期は申告書の提出から3~4ヶ月後が多く、還付請求をすると、ほぼ間違いなくこの通知が来ますので、事前に備えておく必要があります。SP2には、調査対象年度、税目、初回打ち合わせの日程が書かれています。初回打ち合わせにはダイレクターの出席が必要ですので、日本人のダイレクターも最初は時間を確保しておきましょう。
(2)資料の提出
SP2の発行と同時に調査担当官から資料提出の依頼があり、資料の提出期限は最長1ヶ月です。1ヶ月以内に提出しなければ、調査官の裁量で決定されてしまい、以後の反論に使用できなくなるので注意が必要です。
(3)調査の実施
提出した資料を基に実質的な税務調査が始まり、調査官の質問に回答する必要があります。やり取りは通常5ヶ月ほど続きます。この作業はおおむね税務署で行われますが、担当官が直接訪ねてくる場合もあります。
(4)税務調査発覚事項(SPHP)と反論
還付申告から1年以内に、税務署は「SPHP」と呼ばれる調査での指摘事項や修正金額を一覧にした資料を提示しなければなりません。しない場合は、税務署は自動的に還付を認めたこととなります。この指摘や修正金額が納得できるものであればよいのですが、同意できない場合は反論する旨を伝えなければなりません。反論は、税務調査担当官との最終検討会議の前、SPHPの発行から7営業日前後で文書にて回答する必要があります。反論しない場合はSPHPに同意したものとみなされます。
(5)税務査定書(SKP)
最後に、調査結果を伝える「SKP」が発行されます。SKPの結果は、「SKPLB(過払い)」「SKPKB(支払不足)」「SKPN(過不足なし)」の3種類に分かれます。SKPKB(支払不足)と判定され、追徴課税が生じた場合は、発行日から1ヶ月以内に納付しなければなりません。
関係法令:PMK17/03/2013