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労務相談室

第42回労務相談室 転職の季節

第42回労務相談室 転職の季節

宗教大祭手当(Tunjangan Hari Raya/THR)の支給がおこなわれ、断食明け大祭前後の⾧期休暇が終わるとインドネシアは実は転職の季節がやってきます。帰省した社員の話を聞いた親族や友人がジャカルタを始めとする都会で求職を始めるのです。近年は工業団地がジャカルタおよびその近郊のみではなく、インドネシア第 2 の都市であるスラバヤ、中部ジャワ州都であるスマラン、廉価な人件費を求める労働集中型企業を焦点としたクディリやボヨラリなどで広がっており、比較的地元を離れたくない傾向が強いインドネシア人は近くの工業団地での求職をする傾向が強くなっています。ブルーカラー層の採用にはプラスが多い時期となります。

【転職の機会】
一方すでに職を得ている社員が転職を考え始めるのもこの時期です。早く転職すれば臨時収入である次回の宗教大祭手当が満額に近く貰えるからです。宗教大祭手当を満額ほしいのであれば、転職しないでそのまま勤務を続ければいいのですが、転職の際の昇給は通常の年次賃金調整より大きくなる傾向があるため、転職によって収入を増やしていくタイプの社員は定期的に 3 年から 5 年くらいで転職していくことが多いようです。インドネシア人社員に「⾧く働いたなと思うのは何年くらい経った時か」と聞くと、「3 年働いて昇進しなかった時」という回答をよく聞きます。日本人にとっての 3 年は昇進に値する業績を出せるようになるには少し短すぎる気がすると思うのですが、「3 年経っても昇進しなかったから転職を考えた」というコメントは頻繁に耳にします。3 年というのは実はちょっと気を付けておいた方がいい時期なのです。

【マッチング率を上げるためには】
自社の優秀な社員に対しては転職を考えないように今後のキャリア・パスなどを上⾧から説明し、期待していることを伝えるなどは効果があります。会社の就業環境が快適であるということも社員を保持する 1 つの大きな要素ですので、上司から期待される関係にあるというのは社員の動機づけに役立ちます。
一方で転職しようとしている他社の優秀な社員も少なからずいるはずです。いかにこういう人材を獲得するかなのですが、まずは客観的に測りやすい採用条件を設定することです。「積極的に自分で動ける人」「責任をもって業務を完遂できる人」などきれいな言葉で条件づけることがありますが、これらは非常に主観的で人によって感触が異なります。「〇〇分野の営業として△年以上の経験がある人」「◇◇に対応した経験を有している人」のように客観的に測れる経験や能力で必要な人材の条件を定めていくことが大切です。
また会社が期待する業績も具体的に提示し、今後のキャリア・パスの絵を見せることで候補者側の気持ちを捉えることが必要です。欧米系企業は会社の期待を候補者にうまく語り、夢を描かせることで優秀な人材を獲得していっています。会社の守れない嘘は言えませんが、一緒に頑張ってみたいと思える将来像を見せることは実は大切です。そのためには会社の今後の進んでいく方向性も具体的に描いている必要があります。少し明るい未来を新しい人材に与えられる会社を作っていきませんか。

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