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第9回労務相談室 福利厚生に対する権利

第9回労務相談室 福利厚生に対する権利

コロナ禍で各社で行っていた種々のイベント等はおそらくすべて実施しない方向で調整なさっ たのではないかと思います。社員旅行や創立記念イベント、社員と一緒に行う断食明けの食事 など、会社によって様々です。最近「イベントをできないのは仕方がないが、その費用は予算 があるのだから社員に還元してほしい」というような要求が労働組合から来たというようなお 話を伺うことがあります。この論理はいかがなものでしょうか。

【福利厚生は権利か?】

まずは就業規則もしくは労働協約を確認し、当該福利厚生便宜がどのように定められているか 確認する必要があります。最も一般的な規定としては「会社は毎年〇月に創立記念行事を行 う」というような簡素なものではないかと思います。「社員は創立記念行事を受ける権利を有 する」とは記載されていないのではないでしょうか。つまり創立記念行事の実施は規定として 定められているけれども、それを権利として社員が持っているわけではないのです。また福利 厚生 Kesejahteraan Karyawan とは「企業が従業員に対して通常の賃金・給与にプラスして支給す る非金銭報酬である(ウィキペディアより)」とあり、金銭に還元できるものではないのがわかり ます。社員の忠誠心やリテンションを図るため、賃金以外の便宜をたとえば保険や年金制度、 旅行やイベントという形で提供してきているものなのです。

【落としどころはどこか?】

とはいえいつもあるものを会社がしたくないわけではないにしろ、現状実施が難しいという観 点からみると、予算が余ることは容易に想像できてしまいます。一方で会社としてはコロナ禍 で業績も悪化しており、少しでもコスト削減を図りたいところでは「予算が余っている」など とは簡単に言えません。けれども何もしないのも社員の不満を掻き立てる可能性があります。 予算の一部を頭割りして賃金と一緒に追加で支給するという方法は簡単に思いつきますが、費 用対効果はあまりよくありません。金銭は何になってしまうかわからず、ほとんど記憶に残ら ないからです。賃金と一緒に支給するとなおさらです。同じ金銭であればお買物券のようなも ので何かを買うようにする方が幾分記憶に残ると思います。もしくは家族との時間を楽しむの が大好きなインドネシア社員ですから、ちょっと素敵な食事の宅配とか、コロナ禍でできなかった帰省のためのバウチャーを配るなどは喜ばれるかもしれません。もしくは在宅勤務で役に 立ち、社員も嬉しいモバイル wifi ルーターを配布するなどはいかがでしょうか。自宅に wifi を 契約している社員はほんのわずかです。ほとんどの社員が携帯電話のデザリングを用いてイン ターネットにつないでいます。仕事にも役立つか、社員が嬉しく思うかという観点から全予算 を使うのでなくとも何か少し還元できる方法を検討することをお勧めいたします。

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