第19回就業規定/労働協約改定
第19回就業規定/労働協約改定
第 11 回『フェニックス労務相談室』でオムニバス法の公布に係りやらなければならないことの 1 つとして就業規則/労働協約の改定を挙げました。今回は何をどんなふうに改定しなければな らないのか、改定の際に配慮しなければならないことは何なのかに焦点を当ててみましょう。
【記載方法の確認】 まずは現行就業規則/労働協約の記載方法を確認しましょう。大きく分けて 4 種類の記載方法が 一般的です。具体的には(1)「現行法規に従う」というような形で法規の詳細内容を明記してい ないもの、(2)「〇〇年法律第△号第◇条にしたがい」というような形で適用する条項名の詳細 を明記しているもの(詳細内容を明記している場合としていない場合がある)、(3)法規に関する 記載はなく、発効当時に有効な法規詳細内容のみが記載されているもの、(4)現行法規に沿って おらず、各社独自の規定を設定しているもの、の 4 種類です。特にオムニバス法により現行就 業規則/労働協約発効時の法規内容より労働者権利が減額されたり、労働者からみて不利になっ たと思われる条項を確認する必要があります。
【改定方法】 記載方法が(1)の場合は改定不要です。自動的に適用する現行法規が変更になりので、そのまま の内容でオムニバス法の内容を適用することができます。(2)の場合は(1)と同様の記載方法に変 更する提案をしてみましょう。改定に応じた場合はオムニバス法の内容を改定時から適用でき ます。 一方で(3)と(4)、そして上記(2)の改定案に応じなかった場合は個別に交渉が必要です。法規改定 の場合、労働者の権利が増額されたり、労働者がより有利になったりする場合は自動的に新し い法規が適用されますが、逆の場合は自動的には適用にならず、労使での合意が必要になりま す。就業規則は労働組合との合意ではなく、会社が決定するので合意を不要だと思われる方も いらっしゃるようですが、就業規則を労働地方事務局に登録する際には社員代表の署名が必要 ですし、今回のような場合は必ず労働地方事務局が労使の合意を確認します。また勝手に会社 が変更して社員が損をしたとなると今後の労使関係にも亀裂が入る可能性があります。労使の 合意を得るためには落としどころを探ることになりますが、頑なに拒否する場合には「オムニバス法施行後に入社した社員には改定内容を適用する」という提案も可能です。1 社で 2 規定が 存在することになり複雑ではありますが、コスト面からはプラスがあります。ただし次の改定 が行われた場合の対応も含めて定めておくことをお勧めいたします。
関連法規:2021 年政令第 35 号 PP-35/2021、2021 年政令第 36 号 PP-36/2021