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労務相談室

第39回労務相談室 基本となる法規の存在

第39回労務相談室 基本となる法規の存在

2022 年 12 月 30 日に 2022 年政令第 2 号(以下代替政令と称す)が施行され、その中で2020 年法 律第 11 号(以下雇用創出法と称す)を無効にすると記載されています。一方で当該代替政令の内容は 2020 年法律第 11 号と大きな違いはありません。ただ最低賃金計算法とアウトソーシングには変更が加えられています。次の最低賃金は 2023 年 11 月頃の発布となりますし、基本となる法規がすでに明確になっていると思いますので心配ありませんが、アウトソーシングについては現時点でも新規契約締結や契約改定などが生じる可能性があります。このような中で何を基本となる法規として対応すればいいのでしょうか。

【代替政令の適用】

代替政令は 2022 年 12 月 30 日から施行されていますので、現時点で雇用創出法は無効になっています。一方で代替政令は施行後最初の国会で承認を得なければ無効となります。現在その国会の審議を進行中であり、まだ承認はなされていません。ですから代替政令が無効になる可能性は現在もあり、その場合は雇用創出法が再度有効となります。また雇用創出法が再度有効になったとしても、憲法裁判所判決により 2023 年 11 月 25 日までに雇用創出法の改正を行わなければならないという問題も存在します。改正ができなかった場合は雇用創出法そのものが無効になります。厳密にいうと現在は代替政令を基本として対応すべきなのですが、今後の状況が不安定であることから考えると、慌てて変更することは避けた方がいいと思われます。

【アウトソーシングを使える業務】

このようなはっきりしない状況の中で、アウトソーシングは雇用創出法では使うことのできる業務の制限をすべてなくしており、どんな業務にでもアウトソーシングを使えるということになりました。一方代替政令では使うことの業務を制限することが明言されています。とはいえどのような制限なのかを定める実施規定はまだ定められていません。ですから制限されること はあるのでしょうが、どの業務に使ってはいけないのかはまだわからないのです。雇用創出法での改定にしたがい製造現場や倉庫作業、入力業務などにアウトソーシングを使い始められた会社は少なくなく、開始時期によっては現在その更新時期に当たっていることもあります。また 2023 年に適用となる最低賃金額も規定されましたので、それにしたがい契約書の改定を行うこともあるかと思います。 一方で契約改定・更新は見直しのチャンスですので、アウトソーシングの使用に反対している労働組合からみると「代替政令で業務の制限がおこなわれるから違法だ」などと会社に申し入れてくる可能性もあります。会社側としては「実施規定が定められて、この業務がアウトソー シングを使うことができないと規定されたら契約は停止する」というような回答により契約を継続できる時期まで継続したいと思われるのではないかと思います。今後も法規の適用性をき ちんと見極めるためには目が離せない時期となっていますので、ご注意ください。

関連法規: 2020 年法律第 11 号、2022 年政令第 2 号

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