第36回労務相談室 来年の最低賃金
第36回労務相談室 来年の最低賃金
11 月に入りますと、来年の最低賃金が気になり始めます。来年の予算を策定しなければならず、人件費に大きな影響を与えるからです。オムニバス法前は「インフレ率+GDP 率」でしたので、高額昇給には頭が痛くとも大方の予想ができました。以下でご説明するオムニバス法で a 新たに定められた計算式は統計局からのデータを確認しなければならず、一般的にメディアで報道されない数値ですから「一体どれくらいになるの?」というお問い合わせを受けやすくなります。現時点での予測としてどんな感じになりそうでしょうか。
【最低賃金額算出式に基づく決定の流れ】
まず毎年 3 月の全国経済社会調査で計算される月次一人当たり平均消費額、家族平均人数、家族ごとの平均就労人数などのデータを元に最低賃金の上限額と下限額が計算されます。これはすでに地域ごとで算出することができるはずです。そしてその上限額と下限額にインフレ率かGDP 率、現行最低賃金額などを合わせた計算式があり、それで暫定最低賃金額が決定されま す。11 月 1 日に発表されたインフレ率は全国ベースで前年比 5.71%です。一方第 3 四半期の GDP 成⾧率が 5.72%と発表されています。今後の変化にも配慮が必要ですが、大きな差のない数値と なっており、高い方の一方を用いることになっていますので、おそらく5%後半という数字が使 われることになるでしょう。その暫定最低賃金額を購買力平価率、労働力吸収率、賃金中央値に基づく最低賃金額をそれぞれ算出し、その平均値が最低賃金額として決定されるという流れです。
【減給額の設定】
労働大臣はすでに「オムニバス法で定められた算出式に基づき最低賃金を算出、決定するように」と勧告しており、一方で「2022 年よりは上昇率が大きくなるだろう」などと労働組合の反発を抑えようと試みているように見えます。一方で労働組合側は大規模デモを実施すると脅しながら 13%という数値を掲げていますが、インタビューされた人によってはすでに8%とか6%という数字も出てきており、13%という数字が実は非実現的であるとは考え始めているようです。
一方で会社側から見ますとインフレ率、燃料費の高騰は会社コストにも大きな打撃を与えており、運送費の高騰も含め、来年のコストアップをどこまで抑えられるのかと頭をひねらせていらっしゃることと思います。ジャカルタ州の 2022 年度最低賃金額は上告されたまま 2023 年最低賃金決定時期を迎え、上告した本人はすでに退任していることから、おそらくジャカルタ州最低賃金はうやむやになったまま翌年を迎えるのではないかと思われます。以前のセクター別賃金の影響で適用すべき最低賃金額がかなり下回っている会社も少なくなく、2022 年の最低賃金変更なしという県/市はすでに最低賃金をかなり上回った会社最低賃金となっていらっしゃる会社も少なくありません。今月末どうなるか、注目されるところですね。
関連法規:2003 年法律第 13 号 UU-13/2003、2021 年政令第 36 号 PP-36/2021