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第57回 解雇合意書の登録

第57回 解雇合意書の登録

社員の解雇が難しいと言われるインドネシアですが、オムニバス法により解雇合意書を労使で作成することで労働地方事務局等権限を有する機関からの許可なく雇用関係を終了できることになりました。権限を有する機関からの許可を必要とするのは解雇合意書を労使で作成できていない場合に限られます。一方でその解雇合意書の適性を確認できるよう、所在地州管轄の労使紛争解決裁判所への届出が義務付けられています。今回はどのように届出を行うかについて確認してみましょう。

【必要書類の準備】
解雇合意書だけを持っていっても登録できません。いくつかの必要書類があります。解雇合意書登録申請書(既定フォームはありません。各社で作成します)、処理担当者への会社からの委任状、委任状発行者が会社代表者であることを証明する書類、処理担当者の個人登録書(写し)、最終権利支払い証憑などが必要です。つまり解雇合意書を作っても必要な補助書類がたくさんあるのです。少し気になるのはそれぞれのサイナーです。解雇合意書は当然人事関連書類となります。通常は解雇合意書登録申請書は人事責任者が、処理担当者への会社からの委任状は外国人であっても社⾧や取締役が署名します。インドネシア人取締役がいらっしゃれば、その方が委任状を発行する方が無難です。会社代表であることの証明は会社定款となります。

【最終権利支払い証憑】
解雇合意書には退職金等の支払いについての内容が入っています。その金額が合意書に基づいた期日を厳守し、きちんと支払われたことを確認するための証憑の提出が義務付けられています。近年銀行振込で会社口座から直接社員の登録口座にシステムで銀行振込する会社がほとんどですので、振込控などという紙は存在していないことが多いです。ですからシステムからダウンロードする振込証明書のようなものを準備することになります。ポイントは会社の口座から社員名義の口座に、合意書にある期日と金額に沿って振り込みが行われているということです。この 4 点が確認できる書類である必要があります。しばしば発生するトラブルとしては、解雇合意書に記載されているのは退職金等のみであり、最終月の賃金がいくらになるのかは記載されていないにもかかわらず、まとめて送金するため、金額が正しいのかどうかわかりにくいという点です。特に最終月の賃金が比例計算されており、月額定額賃金とは異なっている場合、しばしばその証明を求められます。ですから最終月賃金と解雇合意書に記載された最終権利は別に振りこみ、証憑を分けておくことがトラブルを避けるコツとなります。ひと手間かけることでスムーズな処理を確保することができます。
また最終権利の支払いを最終月賃金支払い日と一緒にすると、雇用関係を終了する日から最終権利の支払い日までが 1 ヶ月以上開く場合があります。その間解雇合意書の届出はできませんので、社員が考えを変え、登録が行われていないことで解雇合意書の正当性がないと主張するような場合もあります。社員が遂行しなければならない義務が終了した時点で、速やかに最終権利の支払いを行っておく方が問題が少ないようです。

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