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第24回労務相談室 役職ごとの権利の差

第24回労務相談室 役職ごとの権利の差

インドネシアは貧富の差が大きい国です。会社内でも同じ職場で働く上司と部下の賃金格差が日本より大きい現実があります。最低賃金額程度の賃金で就業する製造現場の作業者に指示を 与えているマネージャーはその 3~4 倍の賃金を支給されています。そしてインドネシアではより高位の役職に就いている人がより多い/高い便宜を受け取ることができることを「当たり前」 と理解する文化があります。 日本人には少し違和感のある役職ごとに分けられた権利や福利厚生などの例をいくつかみながら、なぜそのような設定を行うのかを考えてみたいと思います。

【より高位の役職には支給されないもの、あるいは義務が課せられるもの】

まず最も代表的なより高位の役職には支給されないもととして、時間外労働賃金があります。 これは経営層や管理者層は時間で成果を図ることができない業務を行っているという認識によります。「マネージャー以上の社員は時間外労働賃金の権利を有さない」というような規定が就業規則/労働協約に記載されているのは一般的です。そして社員側はそれを当たり前として受け入れます。それでも時間外労働を行うマネージャー達は多いのではないでしょうか。また権利ではありませんが、辞職願の提出期限がより高位の役職者の方が⾧い場合が多いです。現行法規では「円満な」自己都合退職の条件として 30 暦日前までに辞職願を会社に提出するというものがあります。一方でマネージャー以上は 2 ヶ月前までに辞職願を会社に提出しなければならないという規定をお持ちの会社はよく見られます。こちらは引き継がなければいけない業務の状況や後任を探すことに必要な時間がより⾧いことなどが理由となっています。この辞職願の提出期限については少し抵抗がある人が少なくないようではありますが、自身の掌っている業務の重要性などを説くことで受け入れられるようになる人も多いようです。

【より高位の役職に手厚くなるもの】

逆により高位の役職者により多く支給されるものもあります。その最たるものは社用車や携帯 電話の貸与や使用料補助の金額ではないでしょうか。マネージャーになると会社から社用車が 貸与されることは古くからの習慣です。日本では役員でも貸与されない社用車と思ってしまいますが、インドネシアでは貸与されない社員も「そういうものだ」と受け入れがちです。これは業務の必要性もありますが、ステータス的な考え方も少なくないでしょう。通信手当などという名目で携帯電話使用料を補助する場合もありますが、より高位の役職者の方が高額になる傾向があります。もちろん携帯電話を使用して業務を行う必要性が高いことが本来の理由ですが、こちらもステータス的な考え方が少なくなく、それによって下位の役職者のやる気を引き出そうとしていることもあるでしょう。会社によってはある役職者以上にスポーツクラブの会員権を与えたり医療保険に加入する場合もあります。医療保険は役職ごとに保障内容が異なっていることもしばしばあります。なかなか適した役職者を見つけるのが難しい中で転職を防ごうとする苦肉の策とも言えます。

 

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