第7回労務相談室 コロナ禍の人事評価
第7回労務相談室 コロナ禍の人事評価
インドネシアは本格的な大規模な社会規制(PSBB)が始まったのが 4 月からで、多くの会社が 在宅勤務に切り替えたり、シフト制を用い出勤率を抑えたりしています。一方で会社事業は進 めていかなければならず、そのための目標設定や事業計画も必要になります。通常年度初めに 行う目標設定は人事評価と繋がっているのが一般的です。同じ職場にいて、必要に応じたフォ ローアップをその都度行っていた就業状況は一転し、見えないところで進捗を確認し、評価し なければならなくなりました。どんなことに気を付けなければならないのでしょうか。
【SMART な目標設定】
日本人は比較的結果だけでなくプロセスも評価したがる傾向が強いです。これは事業ベースと 言われる欧米のやり方と大きく異なっています。どこに焦点をあてた評価を行うかをまず検討 し、それを評価できるような目標設定がまず必要です。一般的に SMART な目標設定をしなけれ ばならないとよく言われます。SMART とは Specific(具体的に)、Measurable(測定可能な)、Achievable(達成可能な)、Related(経営目標に関連した)、Time-bound(時間制約がある)からなる 省略形です。何をやるのか具体的に明記し、その達成指標は客観的に誰が見ても同じ評価がで き、夢のようなものではなく努力すれば達成できる事項から、経営目標に沿ったものを選択 し、計画的に時期を設定し進捗を図れる目標設定を行うということです。最も頭を悩ませるの は成果を客観的に評価する指標である Measurable ではないでしょうか。数値で表現できること が最適ではありますが、売り上げ目標などとは異なり、特にバックオフィス系の人の目標は数 値にしにくいです。ミス数低減やオンタイム対応など視点を変えた達成状況設定を工夫しまし ょう。少なくとも上⾧と社員本人が同じ達成状況の絵が描けるというところがポイントです。
【定期的な進捗確認が鍵】
人間は基本的に怠け者であると言われます。見られていない、聞かれないと夏休みの宿題のよ うに最後の締め切りまで動かないということになりがちです。それを防ぐポイントは定期的な 進捗確認です。目標設定時に作った計画と実際の進捗の差異を定期的に確認し、方向修正やサ ポートを行っていくというものです。同じ職場で顔を合わせていれば困っているのか、順調な のかは顔を見ればわかりますが、在宅勤務が主流になってしまうとなかなかタイミングのあったフォローアップは難しくなります。ですから定期的に問題の有無にかかわらず会話すること をお勧めします。たとえば毎月第 1 月曜日には目標進捗確認の面談を行うと設定しておけば社 員側もその都度目標と計画を見直し、面談前には少しでも成果を出そうと努力します。週報を 出させて、その中に目標達成進捗報告を入れるということも可能ですが、話をすることでわか ることや直接の会話があるからこそできるサポートなどもありますので、できる限り会話する ことをお勧めします。