第50回 労務相談室 無断欠勤呼び出し状
第50回 労務相談室 無断欠勤呼び出し状
無断欠勤 5 日連続以上続くと自己都合退職したものと見なし、雇用関係を終了することができるというのはよく知られている規定です。多くの就業規則や労働協約の「雇用関係を終了できる違反」にも無断欠勤 5 日連続という内容が記載されています。けれどもこの雇用関係終了には会社からの呼び出し状が送付されていることが条件となっています。ではこの呼び出し状とはどのようなものなのでしょうか。
【呼び出し状送付タイミング】
会社からの呼び出し状とは、欠勤理由を確認するため会社への出勤を促す書状です。この呼び出し状を 2 回送付していないと、自己都合退職したものを見なすことはできません。2 回はいつ送付すべきなのでしょうか。1 回目と 2 回目の呼び出し状は少なくとも 2 就業日開いていないといけません。ですから 5 日目の無断欠勤後すぐに雇用関係を終了しようとすると、無断欠勤 2日目に 1 回目の呼び出し状を送付し、5 日目に 2 回目の呼び出し状を送付し、5 日連続を確認した翌日雇用関係を終了するというのが最短となります。1 回目の呼び出し状が遅れれば遅れるほど雇用関係の終了は遅くなるということになりますので、勤怠管理は細かく行っておくことをお勧めいたします。
【呼び出し状内容】
呼び出すということは何かをするように指示するわけですが、基本的には〇月〇日に出社するようにということと、その時にこれまでの無断欠勤の状況を説明できる証拠を持参するように指示します。たとえば病気だったというのであれば医師の診断書を持参させるという具合です。指定日に出社したが会社の受け入れられる理由での欠勤という証拠がなかったなどは当該日の欠勤ステータスが無断欠勤になります。指定日に出社しなければそのまま無断欠勤の連続となります。
送付の際にも気をつけなければならないことがあります。それは送付と受領の証拠を持っておくことです。人事の方や運転手がお届けする場合は、受領者は本人でなくとも構いませんので、必ず受領のサインを貰ってください。通常の郵便は書留がベストですが、比較的対応に時間がかかるのでクーリエサービスを使う方が間違いないと思います。クーリエも受領証拠を取ってもらうことが可能です。
もう 1 点どこに送るかなのですが、これは会社に登録されている当該社員の住所に送付するのが最も正しいと言えます。社員からの情報で登録されている住所からすでに引っ越しているというようなこともありますが、会社の登録変更をしていないのは社員の不備ですので、配慮する必要はありません。確実にいる場所がわかっている場合は本人が受領した方がいいので、そちらに届けても構いません。会社が義務を遂行していることを客観的に証明できるよう、きちんと対応し、呼び出しに応じなかったもしくは欠勤理由が認められなかった場合は、会社から解雇通知書を発行することになります。
関連法規:2001 年政令第 35 号第 36 条、第 51 条