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第38回労務相談室 2023 年最低賃金の行方

第38回労務相談室 2023 年最低賃金の行方

昨年 11 月 16 日に施行された 2022 年大臣令第 18 号で混乱し始めた最低賃金ですが、12 月 30 日 に 2022 年政令第 2 号が施行され、その中で最低賃金に係る規定が改定されています。こちらの政令は次回国会でこの緊急政令を承認しない場合は無効となります。また 2023 年最低賃金額はすでに決定されていますので、2022 年大臣令第 18 号の合法性の問題はありますが、すでに定められた最低賃金額を元に各社で賃金調整する必要が出てきています。 一方で西ジャワ州知事は 12 月 28 日に 2022 年西ジャワ知事通達第 561 号で勤務期間 1 年以上の社員の最低賃金について再び規定を発行しています。賃金スケールを定めている会社は対象外となっていますが、州知事がコメントした数値は一人歩きするので、注意が必要です。

【適用法規の整理】

このように法規が混乱している状況の中での年次賃金調整交渉もしくは決定はさまざまなリスクを負うことになります。とはいえ労働者側は 1 月 1 日から有効となる新最低賃金額を元にした賃金調整の決定を期待しています。こんな中でまず行わなければならないのは各社で適用する法規の整理です。施行されたものすべてを自社で適用しなければならないとは限りません。 上記のとおり、西ジャワ州知事通達は賃金スケールをすでに設定している会社は適用外です。 また最低賃金額もすでに会社の最低賃金額がその金額を上回っていればすでに適用されていることになります。また最低賃金上昇率がしばしば話題となりますが、最低賃金の規定はその設定された金額と少なくとも同額もしくは上回ることが義務付けられているのであって、最低賃金額の上昇率は何の拘束力も持ちません。このように世の中で話題になっているものと実際に会社が適用しなければならないものは必ずしも一致していないのです。

【労使で同じ土俵に立つ】

会社が適用しなければならない法規および数値を整理できたら、それを労使でしっかり認識する必要があります。この規定はなぜ適用する必要がないのかということを具体的に説明し、労働者/労働組合側が同じ理解ができるように話し合いの場を持ちましょう。「労働組合はいいとこどりをして、周りの会社の美味しいところを持ってくるだけできちんと会社の説明を聞かない」と決めてしまっていませんか。もちろんそういう傾向がある労働組合も少なからずあるでしょう。けれどもきちんと説明すればちゃんとわかる労働組合もあります。一方で「適用義務がないのはわかるけれど」という要求もあるでしょう。たとえば「最低賃金額がすでに上回っているので、年次賃金調整は行わない」ことは違法ではありませんが、「毎年昇給しているのに」「周囲の会社で昇給しない会社はないので」などという理由で「そこを何とか」と要求してくるものです。義務ではない年次賃金調整は会社方針および能力にしたがい検討することになります。良好な労使関係を維持しながら落としどころを探るためにはまずは同じ土俵に立つ説明が必要です。

関連法規: 2022 年西ジャワ州知事通達第 561 号、2022 年政令第 2 号

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