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第29回労務相談室 昇給査定

第29回労務相談室 昇給査定

新しい最低賃金が毎年 1 月から適用されますが、日系各社は周りを見ながらそこそこの落としどころを探るという傾向が強く、実際の支払いは 2 月や 4 月から行われ、1 月に遡及して支給 するという会社が多く見られます。現在周囲の様子見と労働組合との交渉の真っただ中ではな いでしょうか。そんな中で実際に労働組合と交渉するのはベースアップの部分、様子見するの は昇給平均率であるところで、その中には各社員に対する査定が含まれます。昇給時の査定は どのようになさっているのでしょうか。

【「普通」の指針】

一般的には賃金は能力にしたがい、賞与は業績にしたがって評価がされます。ですから評価な さる項目は異なっていると思いますが、それぞれの項目に対し、「5:非常に優れている、 4:優れている、3:普通、2:少し劣っている、1:非常に劣っている」というような数値 化をされているケースをよく見かけます。当該社員の役職、職務に合わせた賃金をすでに設定していますので、当然全社員の相対評価ではなく、それぞれの社員の「普通」が何かに対する相対評価になっていると思います。けれども「普通」が何かを設定されていない会社がよく見 られるのです。たとえば「普通のマネージャー」のレベルと「普通のオペレータ」のレベルは 異なります。ですからそれぞれの普通を客観的に定める必要があります。そうすると各自の職 務分掌を設定しておかなければならず、残念ながら日系企業の多くでまだなさっていません。 では各自の職務分掌や到達レベルを設定していない中で、どうやって普通の指針を設定すれば いいのでしょうか。

たとえば「当該社員に課されている役職および職務遂行にあたり 100%満足できる能力を駆使して就労している」とするとどうでしょうか。これはかなりハイレベルな「普通」です。通常 100%満足させることは難しいからです。ですから「普通」と評価された社員はかなり優秀ということになります。80%か 70%かというのは曖昧な判断になりますが、100%というのは明確 です。そこで「100%」を鍵としてそれを「普通」に設定するのか、「優れている」にするのか などは各社の適正にあわせてご判断なさればいいと思います。

【項目と比重】

100%の位置が決まれば、その上下は決めやすくなります。それで少し客観的な能力レベルを見ることができるでしょう。一方でどのような項目に対して評価し、それぞれの項目をどれくらいの比重にするのかというシステムが必要です。役職ごとや職種ごとに同じ項目や比重を設定されることが多いのではないかと思いますが、もちろん部下の有無、技術者か管理者かなどに よって評価したい項目は変わってくるでしょうし、その項目の重要性も変わってきます。全体のバランスや公平性も確認の上、各社で大切にしたい能力を再考なさる機会とすることも効果 的です。鉛筆をなめて全体のバランスを見ながら調整する査定にはさよならし、体系的かつ客 観的で労使でオープンにできる査定システムを構築してみませんか。査定は社員の動機づけの 最大の武器です。納得性の高い評価を社員にフィードバックしながら社員の能力向上に努めて いきましょう。

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