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第31回労務相談室 賞与の評価

第31回労務相談室 賞与の評価

断食明け⾧期休暇が終了すると4月から3月の会計年度の会社にとっては会計報告やそれに基づいた年次株主総会という時期を迎えます。その結果にしたがい賞与を検討することになる会 社も多いようです。インドネシアでの賞与支給は日系企業では多いようですが、法的に義務はなく、全体的にみると必ずしもまだ一般的とは言えません。

【昇給評価と賞与評価】

賞与には評価がつきものですが、昇給時の評価と重複しがちです。本来昇給時は能力や職務に基づいて、賞与時は業績に基づいた評価が行われるべきです。けれども能力の上がった社員は通常業績も上がることが多いですし、業績が上がった場合に実は他の要因による達成であっても好感を持つために昇給時の評価もよくなる傾向があります。2回の評価をしているにも関わらず結果はよく似たものになり、社員から不満がでるとしばしば聞きます。ですからこの2つ の評価システムは異なった方法で行うことをお勧めいたします。もちろん能力も向上し、業績 もよかったのであれば当然どちらもよい評価を貰うことになります。一方目立ちやすい特徴に引きずられて他の特徴についての評価が歪められる現象であるハロー効果の歯止めとなることができます。第 29 回で昇給評価についてはご紹介していますので、ご参照ください (https://fnk- i.com/roumu_14042022_29/)。

【目標管理と業績評価】

業績評価は目標管理と関連付けて設定されます。賞与が年1回であれば年次目標を設定し、賞与が年2回であれば年次目標だけでなく半期ごとの達成状況も明確に設定します。そしてその 目標をどれくらい達成したかによって計算されるのが業績評価です。評価につなげるためには 達成すべき目標の項目やそのレベルだけでなく、どれくらいの作業量が必要かというウェイトや難易度、会社業績への影響を示す重要性、達成時期なども設定し、それぞれの評価を掛け合 わすような形で賞与額を計算します。可能な限り各自の全業務を網羅できるような形で目標を設定し、ウェイトの合計が 100 となるように設定しておくと目標の数でのバラツキが出ないようにでき、他の社員との公平性も保ち易くなります。すべて達成しても簡単な目標ばかりであれば当然合計額は多くなりませんし、達成できなかったものがあったとしてもとても難易度の高い、作業量も多い目標が達成されていると賞与額がそれほど減らないという場合もありま す。「ウェイト×達成度×難易度×重要性」というような計算式を設定し、月額賃金とかけ合 わせたり、その点数によって最終的な評価を A、B、C、D、E と分けるなどという方法も可能でしょう。ここで最も大切なのは達成度を客観的に判断できるように目標設定しておくことで す 。 SMART と 呼ば れる 指針 がありますが、 Specific( 具体的 に) 、 Measurable( 測定可 能な ) 、 Achievable(達成可能な)、Related(経営目標に関連した)、Time-bound(時間制約がある)な目標設定 が大切です。特に客観的に測定が可能な基準を設定することが職務によっては難しくなります ので、できるだけ数値化し、達成したかどうかを誰が見ても同じ判断ができるように定めることがポイントとなります。やる気を引き出せる活きた賞与の支給を目指しましょう。

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