第1回 オムニバス法・所得税(PPH)
第1回 オムニバス法・所得税(PPH)
さて2020年11月2日に大統領承認を受け、オムニバス法が施行されました。成立の前後には、激しいデモの様子が報道され、雇用・労働関係の法律だというイメージが先行していますが、オムニバス法は税務に関する改正、追加法も含んでいます。
所得税の改正には、インドネシア在住外国人納税者、国外居住インドネシア人納税者に対する課税対象の例外規定が盛り込まれました。
「オムニバス法が施行されたら、インドネシアの給料だけ申告すればよい。」という話が事前にささやかれた所以でもあります、実際はどうなのでしょうか。
確かに「一定要件の外国人は、インドネシア国内所得のみの課税となる」という内容の条文があります。と、いうことは、例年の個人確定申告において課税されてきた全世界所得の課税から解放され、日本人駐在員であれば、インドネシア社からの給与のみの課税となるのでしょうか。まず対象となる外国人納税者の要件をみてみましょう、一定の要件は2つあり、
①特定のスキルを持っていること(スキルの詳細は財務大臣令にて今後決定されます)、
②インドネシアで納税者となって4年度以内であること、の両方を満たす必要があります。スキルの詳細は大臣令を待つ必要がありますが、要件を満たされる方はある程度でてくるものと思われます。
次のチェックポイントは、「インドネシア国内所得」とは何か、です。
これは条文内に、インドネシア国内での就労、サービスの提供などに基づいて支払われるもの、受け取る場所がインドネシア国外の収入も含む。と規定されています。それでは、日本のお給料はどうなるのかと申しますと、多くの駐在員の方が日本で支給を受けているお給料は、インドネシアでの仕事の対価として、日本で支給されている(給与補填の場合も含む)場合が多いと思われますので、その場合はインドネシア国内所得の範疇に入ってしまいます。
上記から、一定要件を満たした日本人駐在員の課税対象には、インドネシアで勤務した対価として日本で支給された給料も含まれる、という結になります。ただし、全世界所得ではなく、インドネシア国内所得の課税のみの対象者となる権利は存在していますので、日本に不動産収入がある等、国外を収入の源とする所得のある方にとっては、インドネシアにおける課税対象が狭まるというメリットがあります。
この他の改正として、国外への利息支払い時におけるPPH26の税率の減額(現行20%)国内配当に対する非課税、国外からの配当に対する条件付き非課税等もあります。細かな要件につき、今後制定される大臣令にその細則をゆだねる部分も多いため、現時点で明らかとなっている内容に限り、お伝えいたしました。細則の制定に合わせ、引き続き情報展開してまいります。
この他の改正として、国外への利息支払い時におけるPPH26の税率の減額(現行20%)
国内配当に対する非課税、国外からの配当に対する条件付き非課税等もあります。
細かな要件につき、今後制定される大臣令にその細則をゆだねる部分も多いため、現時点で明らかとなっている内容に限り、お伝えいたしました。細則の制定に合わせ、引き続き情報展開してまいります。
関係法令:UU11 Tahun2020 Tentang Cipta Kerja (オムニバス法)Pasal 111